総合型選抜の出願書類や面接で「アピールできる実績がない」と感じている高校生は少なくありません。ただ、実績集めから始めるのは順番が逆です。総合型選抜で最も大事なのは、将来やりたいこと・大学でやりたいこと・高校での活動が、一本のストーリーとしてつながっていることです。この記事では、その前提を整理したうえで、今から取り組める実績づくりの方法を4つと、つくったあとの活かし方まで紹介します。

実績集めの前に —「3つのつながり」が評価の土台

総合型選抜で問われているのは、実績の数や派手さではなく、次の3つが一本の線でつながっているかどうかです。

  • 将来やりたいこと(社会に対して何を変えたいか、どう関わりたいか)
  • 大学でやりたいこと(そのために何を学び、どの研究室・カリキュラムを使いたいか)
  • 高校での活動実績(すでに何に手をつけ、何がわかったか)

この3つがつながっていると、活動実績は「頑張った証拠」ではなく「将来に向けてすでに動き出している証拠」になります。逆に、どれだけ立派な実績でも将来やりたいことと関係がなければ、入試担当者にとっては評価の材料になりません。

順番としては、まず将来やりたいことの方向をざっくり決め、そこから逆算して「今の自分に足りない経験は何か」を考え、その穴を埋める活動を選びます。この順番で選んだ活動は、あとから志望理由書を書くときにそのまま材料になります。

現時点で将来像がぼんやりしていても構いません。「気になっていること」「不便だと感じていること」を出発点にして、手を動かしながら方向を定めていくやり方でも、ストーリーは十分につくれます。

「実績がない」と感じる理由

総合型選抜の対策を始めたばかりの高校生の多くが、「留学経験もない」「全国大会に出たこともない」といった理由で自信をなくしています。しかし大学の入試担当者が見ているのは、実績そのものの派手さではなく、自分の関心をどう掘り下げ、どう行動に移したかというプロセスです。周りと比べて実績が地味に見えることは、実績づくりを諦める理由にはなりません。

比較対象を他人に置いてしまうと、いつまでも「自分には足りない」という感覚から抜け出せなくなります。基準を「去年の自分より一歩進んだか」に置き換えると、今日からできることが見えてきます。

総合型選抜で評価される「実績」とは何か

評価対象になる実績は、大きく分けると次の3つの要素で構成されています。

  • 課題を自分で見つけたこと(きっかけ・問題意識)
  • その課題に対して行動したこと(探究・制作・発表など)
  • 行動から得た学びを、自分の言葉で説明できること

コンテストの受賞歴や資格のスコアは、この3つをわかりやすく第三者に伝える手段のひとつにすぎません。受賞や合格がなくても、行動と学びの過程を志望理由書や面接で具体的に説明できれば、それ自体が実績として評価対象になります。

今からできる実績づくり4選

どれを選ぶ場合も、判断基準は「将来やりたいこととつながるか」です。つながらない活動を数多くこなすより、つながる活動を1つ深く掘り下げるほうが、ストーリーは強くなります。

1. 探究活動を深める

学校の探究学習のテーマを、将来やりたいことと志望学部の両方に結びつけて掘り下げます。アンケート調査や地域の当事者へのヒアリングなど、小さくても自分の手で集めた一次情報を加えるだけで、テーマの独自性が増します。

2. コンテスト・コンクールに挑戦する

高校生向けのビジネスコンテストやアイデアコンテストは、応募だけなら費用がかからないものも多くあります。探究活動の成果をアウトプットする場として活用すると、行動の証跡として使いやすくなります。

3. 資格を取得する

英語系の資格やITパスポートなど、志望分野に関連する資格は、努力を続けた期間と量を客観的に示す材料になります。ただし資格単体では「なぜその分野に関心を持ったか」までは伝わらないため、取得の動機とセットで語れるようにしておくことが重要です。

4. 将来やりたいことにつながるアプリを企画・制作する

自分で企画したアプリを実際に形にし、App Storeでリリースするところまでやり切る経験です。ここでも起点になるのは「将来やりたいこと」です。関心のある社会課題や、自分が困っている場面を出発点にしてアプリのテーマを決めると、制作そのものが将来像に向けた最初の一歩になります。課題発見から企画、実装、審査対応まで一通りのプロセスを経験でき、成果物が誰でも確認できる形で手元に残ります。

アプリ制作が実績になる理由

アプリ制作を実績として説明しやすいのは、「課題設定 → 企画 → 開発 → リリース → 振り返り」という一連のプロセスが、そのまま志望理由書の構成と重なるためです。「なぜそのアプリを作ろうと思ったのか」という原体験から始まり、「開発中にどんな壁にぶつかり、どう乗り越えたか」という行動、「リリース後に何がわかったか」という振り返りまで、一本のストーリーとして語れます。

さらに、将来やりたいことを起点にテーマを選んでいれば、「その課題に取り組むために大学で何を学びたいのか」という問いに、実体験に裏づけられた答えを返せるようになります。

つくって終わりにしない — 公開後にどう広め、どう活かすか

アプリを提出・リリースした時点で終わりにすると、実績としての価値は半分しか使えていません。総合型選抜で効いてくるのは、公開したあとに何をしたかです。

  • 広める: 学校や部活、SNS、地域のイベントなどで実際に使ってもらう場をつくる。使ってくれる人を一人ずつ増やす過程そのものが、行動力の証拠になります
  • 反応を集める: 使ってくれた人から感想や困りごとを聞き、記録に残す。「何人が使い、どんな声があったか」は面接で具体的に語れる材料になります
  • 改善する: 集めた声をもとに修正して更新する。改善のサイクルを回した経験は、「やりっぱなしにしない人」という評価につながります
  • 次につなげる: そこで見つかった新しい課題を、次の活動や大学での研究テーマの候補として言語化しておく

この「広める・聞く・直す・つなげる」の流れまで含めて語れると、活動が単発の制作ではなく、将来やりたいことに向かって続いている取り組みとして伝わります。

クリサク株式会社では、高校生向けのアプリ制作実践塾「クリサク塾」で、将来やりたいことの整理から企画・開発・App Store提出、そして公開後の広め方や改善までを一緒に進めています。実際に自分たちでアプリを開発・提供している会社が、同じプロセスを高校生と歩んでいる点が特徴です。アプリ制作の具体的な進め方は、高校生がアプリ開発を始める方法で解説しています。

まとめ

実績づくりで最初にやるべきなのは、活動を増やすことではなく、将来やりたいこと・大学でやりたいこと・高校での活動を一本の線につなげることです。その線に沿って選んだ活動であれば、探究活動でもコンテストでもアプリ制作でも実績になります。そして、つくったあとに広め、反応を聞き、改善するところまで続けることで、実績は「提出物」から「継続している取り組み」に変わります。